起源

日本におけるカウンセリングの歴史

2021年1月2日 投稿者: counselingtibaarea オフ

物事には起源があるわけですが、カウンセリングにも起源が存在するはずです。

するはずと書いたのは、我々の認識以前からカウンセリング的な存在は既に存在していたと考えているためです。(太古より)

ですが、今回の記事はこのことには深く触れないことにします。

日本におけるカウンセリングの歴史も世界的な3つの流れを基本としながら独自の展開があった

いわゆる、我々が日常的にカウンセリングと使っている言葉のイメージは、フロイトによる精神分析、またはカール・ロジャースによるカウンセリングのことを指していると思われます。または、もうひとつのイメージとしては催眠を行うものというイメージが存在しているようにも思います。

まず、世界的には、大きく分けて、カウンセリングの歴史の流れは3つと言われることがあります。学派で言えば、行動主義、精神分析学派、人間中心学派の3つです。現在、数多くの学派が存在しますが、起源を辿ると、この3つのいずれかに関係している場合が多くあります。

日本におけるカウンセリングの歴史も基本的にはこの流れに沿いながら独自の展開をします。

日本独自の展開を持つカウンセリングの歴史

さて、これらはすべて海外で生まれ発展していきました。日本においても、この3つの流れの影響は当然ありますが、独自の歴史があります。日本ではどのようにカウンセリングが発展していったのでしょう。

文献により諸説あるにしても、戦後の1950年代~1970年代頃、カウンセリングという言葉が世に浸透していったのではないかと思います。次に、1988年が一つの転機になると言えると思います。

この年に、臨床心理士の資格が開始され、資格をもったカウンセラーの活動がはじまります。その専門性は、心理面接に中核を持つと考えられ、(つまりカウンセリングを指す)多くの領域で活動しています。

その後、経済情勢の変化や、自然災害など、社会的に大きなインパクトが起きた際にも、臨床心理士やカウンセリングということに注目が集まることがありました。20世紀末から21世紀はじめにかけては、全国的に心理学科を設ける大学が急増しました。

そして、昨今2015年には、はじめて心理職の国家資格化がなされました。

友田不二男氏らの始動

改めて、日本のカウンセリングの源流の話に戻ると、まずは、友田不二男氏らの活動が挙げられます。これは、ロジャーズのカウンセリングのことを指し、主に教育の分野で発展したと聞いています。

  • 参考サイト:友田先生の活動の片鱗はこちらのサイトにも記されています。

ロジャーズの弟子である、ローガン・ファックスが日本の茨城キリスト教大学で活動していたこともあり、友田不二男氏らによって、ロジャーズの方法が広く紹介されるようになっていきました。当時、全国の教員の間でロジャーズが学ばれたようです。友田氏のカウンセリングワークショップは多くの人に知られています。

ローガン・ファックス氏は、茨城キリスト教大学の初代学長でした。HPを拝見すると、やはりカウンセリングに関連した記述が見当たります。

現在の学生には、なかなか知られる機会がなくなってしまったのでしょうか。素朴な疑問として、ローガン・ファックス氏について質問しているという設定で紹介されています。付属のカウンセリング研究所のページでは、ロジャーズが来日したときの写真も含めて紹介されています。

※下記のページにも、ローガン・ファックスの記述があります。

河合隼雄氏の帰国

また、友田氏とは別な活動として、河合隼雄氏が、スイスにてユング心理学を学び帰国し、ユング心理学を広めていったという展開があります。

※河合隼雄財団のHPにもプロフィールが記されています。

催眠研究から ー 成瀬悟策らの活動

友田、河合両氏の活動は、日本のカウンセリングの歴史に大きく影響したことは違いなく、また、多くの人に知られています。ですが、もちろん、その他にも多くの人が関係してきた歴史があることは言うまでもありません。

冒頭の方に、カウンセリングに対するイメージの一つに催眠が挙げられると触れましたが、日本においては、成瀬悟策氏が長い時間をかけて多くの活動を積み重ねています。成瀬悟策氏は、後に日本で一人目の臨床心理士有資格者になった人物でもあります(1988年)。催眠研究は、動作法の発展にも繋がり、益々の広がりを見せています。

※成瀬先生のインタビューが掲載されています。

行動療法研究会発足は1975年

昨今は認知行動療法が非常に注目されています。この源流は行動主義に遡るわけですが、1975年には行動療法研究会が発足されています。

日本発の心理療法とは

さて、ここでもう一点触れておきたい事に、日本独自の心理療法の存在です。臨床動作法、内観療法、森田療法は日本オリジナルの心理援助の方法でもあります。

まとめと年表

もっと名前を出したい先生方がたくさんいらっしゃるのですが、様々な事を慮るとここに記すことができません。

全てを網羅しているわけではありませんが、カウンセリングに関する大まかな年表を作成してみました。どのような動きがあったのでしょう。

  • 1952年 『面接法の技術』出版(友田不二男)
  • 1955年  大甕ワークショップ開催
  • 1959年 『カウンセリング入門』出版(伊東博

友田、伊東両氏の活動は、戦後まもなく始まっている。ロジャーズのカウンセリングが紹介された。

  • 1965年 河合隼雄氏がスイスのユング研究所から帰国開始

河合隼雄氏の活動は、日本のカウンセリングの展開に大きな影響力をもった。日本では、ロジャーズのカウンセリングが影響力を持っている時期であった。

  • 1978年 ユージン・ジェンドリン初来日

ジェンドリンは、ロジャーズのもう一つの片腕と称される弟子で、フォーカシングを創始した。

  • 1982年 日本心理臨床学会設立

現在では、心理学関係学会の中で、最も大規模な学会となった。

国家資格ではないが、心理職の資格として臨床心理士が作られた。2016年には3万人を越えている。

はじめての国家資格の法律が制定した。

公認心理師に関する厚生労働省HPの該当部はこちら

戦後のカウンセリングは、ロジャーズの紹介を持って展開されている印象を受ける。その中で、河合隼雄氏の帰国は、もう一つのインパクトになった。現在のカウンセリングには学派を越えた様々な知見が背景にあり生かされているように思える。