カルフおばさんの家から帰ってくると生き生きして見えるのはなぜ?

開業臨床の一つの元型とも呼べると思っているのですが、ドラ・カルフのエピソードがあります。カルフは、箱庭療法の創始者で、日本の心理臨床へも大きく影響しました。

カルフは、ユング一家と知り合いであったと聞きます。そして、ユングは、カルフの心理療法家としての才能を見出したというのです。

ユングの孫たちが、カルフの自宅に遊びに行くことがよくあったそうです。

すると、帰って来た孫たちの表情が一段と輝いているというのです。

つまり、なぜかわからないけれど、カルフおばさんの所から戻ってくると、生き生きしているということなのでした。箱庭を行う、行わないは別にしても、開業の場には、カルフの自宅に合ったような力を感じます。

カルフおばさんは一体何を行っていたのか?

カルフおばさんのお宅が一体どんな場所だったのかわかりません。記憶違いかもしれませんが、たくさんの本が置かれていたと聞いたことがあります。

(後にセラピーを実践したセラピールームは、水辺に建築された古い建物だったといいます。この付近で言えば、我孫子の手賀沼の畔に相談室を構えるようなことだと思います。)

子供にとって、見たこともない本がたくさん並んでいる空間は、好奇心をかき立てたのでしょうか。異世界にやってきたような気持ちだったかもしれません。

遊びまわる「これ、次来るまで絶対動かさないでね」などと言って、親戚の家を後にする子供を見かけたことはないでしょうか。

人によっては、子供といえども、家の物をあまり触らせたくないものです。散らかるので嫌がる人もいるでしょう。ましてや、動かしてはいけないなどと言われると困ってしまいます。

おそらくカルフおばさんは、細かいことを言わず、自由に本を見せてあげたのではないでしょうか。

それは、非常に受容的な態度と言えます。この受容的態度は、後にロジャーズが挙げた態度にも含まれています。

そういうわけで、散々、カルフおばさんの所で、好き勝手自由に過ごして来たユングのお孫さんたちは、帰宅しても輝いて見えたのではないでしょうか。

なんだかよくわからないけど

開業臨床の場は、このような性質を自然と備えているようでもあります。

なんだかわからないけど、あそこに行くと、自信が出る、とか、自然体になれるなどの感想があるかもしれません。

カウンセラーが、特別な視点を提示したとか、いつも以上に話が進んだ、とかそれらがなくとも、なんだかよくわからないけど、元気が出た・・・と感じる方もあるのではないかと思っています。

このスペースを保持し、非日常的な空間を作り出すことだけでも、開業には存在意義があるのではないでしょうか。

→関連して、カウンセリングは自由にして保護された安全な空間を目指すをご参照下さい。