アナロジーとは

アナロジーは日本語では、類推と呼びます。認知心理学の分野で頻出する概念です。人間の情報処理は非常に複雑でありながら、それでいて節約的でもあります。アナロージもまた膨大な情報の中で生活していくための一つの術なのでしょう。

アナロジーは活用の幅が広い

物事には、同じではないけれど似たようなことが多く存在しています。こうしたことから我々は、物事Aでこのようなことがあるのだから、物事Bでも近いことがあるのではないか、という推論を働かせます。

例えば、はじめて蒸気機関船を見た人はどうやって船が動く仕組みを理解したのでしょう。見学をしたらよくわかるでしょうが、必ず見学できるわけでもありません。

船を漕いだりした経験がある人は、乗り物である以上は、何かの動力があるはずである、と推論を働かせる可能性があるでしょう。それは風の力やオールで漕ぐという力のことを連想します。

ここで蒸気機関船に関する一つの類推は終了しています。動力ということを起点に類推を行ったわけです。

もう一つには、ではその動力の正体は何かということになりますが、蒸気機関船であれば、蒸気を船から放出しているさまを見て、あれが関係しているのかもしれないとさらに想像できるわけですが、最も重要な点は、なぜ蒸気が船の動力となるのかという点にあるでしょう。大きな船が蒸気を動力にしているという話はにわかに信じがたいものです。

鍋の蓋

実に蒸気は我々の生活の中で非常に身近な存在です。例えば食事の支度をするときに何度も登場します。何かを茹でようとしたらまず、鍋に水を入れて火にかけるわけですが、沸騰すると湯気がでて、蓋に穴が開いていないものであれば、鍋がカタカタと揺れるのです。これは、水が蒸気になってその体積を膨張させたことに起因します。これは身近にみる、蒸気が物を動かす例なのです。

わずかばかりの蒸気が鍋の蓋を動かすわけですが、このことを応用すると蒸気機関船の動力としての可能性が浮上してきます。鍋の蓋を動かす湯気のアナロジーで、船の動力となる蒸気を類推できるのです。

アナロジーの活用

かなり柔軟な思考が求められることと思いますが、このようにして、正解とまではいかないまでも、アナロジーを用いることで、こうした思考の進展が可能になっていることも事実なのです。もちろんこれだけでは船は動かせませんので、船の設計なども慎重に考える必要があります。精度の高い類推であれば、具体的なことに着手する前にこうし類推を働かせることによって、作業量を少ないものにすることも可能になるでしょう。

しかしあくまで推論であることから、実際に確認がつくまではそれが本当のことであるかどうかはわからないという点には注意が必要でしょう。