カフェテリア実験

心理学では非常に広い分野が研究されていると思います。人間の諸活動に関わることを対象にしているわけですから、不思議なことでもないのですが、それでも、こんなことも研究や実験がされてきたのかというものがあります。

心理学のテキストにも登場するカフェテリア実験

心理学を勉強していくと、カフェテリア実験という言葉を目にすることも稀ではないでしょう。心理学概論のテキストなどにも登場するのではないでしょうか。

この研究では、ネズミを用いましたが、結果として、何かの食品をいくつか目の前に並べた時、そのときに不足している栄養素が含まれている食品を選択するということが示されたのです。

つまり、塩分が不足しているときに、梅干しと饅頭があったなら、梅干しを選択するというようなことです。

この研究結果がどこまで我々の日常生活に応用できるかわかりませんが、確かに、体験的にも、カフェテリア実験のようなことがあったように思います。

喉が渇く

夜中に目が覚めた時、水が飲みたいと思った経験はないでしょうか。寝ている間に結構汗をかき、水分を失っていると聞きます。カフェテリア実験の結果と合わせて考えると、夜中に起きた際に、水が飲みたいと感じる背景には、水分が不足しているということなのかもしれません。

水が飲みたいとか、喉が渇くということは、比較的意識しやすい感覚だと思います。

塩分が足りないとか、ビタミンが足りないという場合はどうでしょう。

豚カツを食べたい

豚カツ定食

どうしても豚カツを食べたいと感じるとき、何かの栄養素が不足している表れなのでしょうか。ここまでくるともうわからないということのほうが妥当なのかもしれませんが、豚肉にはビタミンB1が多く含まれていると言いますから、牛丼を選択しなかったことが確かに意味深にも感じられます。

好きな物を食べていれば間違いないのだろうか

少し、話がずれるようにも思いますが、もし豚カツがたべたくなったら豚カツを、すき焼きならばすき焼きをという生活を続けてよいものでしょうか。

野菜も食べなさい、とか、好きな物ばかり食べるのはやめなさい、などと子供の頃に両親や学校の先生に指導を受けた経験をもつ人は多いでしょう。

伝統的にはバランスよく、好き嫌いなく食べることを求められているようです。

食べ過ぎで、太り過ぎてしまうということもありますので、やはりいかに豚カツが食べたいと感じても、豚カツばかりを食べることは望ましくないでしょう。

ましてや、化学調味料などが当然のように使われるようになった現代社会においては尚更に、カフェテリア実験の結果をそのまま食生活へ当てはめることは無理があるのでしょう。

直感的に感じた時

もし、何を食べてよいものか決まらず、しかし直感的に豚カツが浮かんだような場合には、本当にビタミンB1あたりを必要としているのかもしれません。

※余談になりますが、無意味綴りの際にも言及した記憶がありますが、実験を考える場合、測定しようとすることとは別な要因がどうしても入ってきます。記憶研究で無意味綴りを用いる意義は、別な要因を極力排除するためなのです。それまでの人生経験などに結果が左右されてしま可能性が高まります。

直感が浮上することになるとは、科学的なようで非科学的な話にも思えてくる話題であります。しかし、この直感も日常生活を送るうえで非常に重要ということを示唆しているようにも感じられてきます。

実験

もし日常生活レベルで、カフェテリア実験を検討してみようと考えたら、どのような実験計画を立てることが出来るでしょうか。

もちろん、目的によってその緻密さは異なると思いますが、自分で納得を得たいというぐらいのことであれば、簡易な実験計画を組むことはできるでしょう。(学術的な意味はもたないにしても)

例えば、魚と肉があったらどちらを食べるのか。バターとジャムならどちらを選ぶのか、こういったシーンは日常の中で度々遭遇することと思います。

もし実験の協力者がいれば、少し客観性を持たせることが可能になると思いますが、多くの場合付き合ってはくれないものです。

自分だけで完結できる計画を立てた方が気楽でもあると思います。

方法

例えば、甘いものを控えるとか、塩分を控えるという方法は比較的主観的にも観察しやすいと思います。塩分の多い食べ物には、かつ丼、ラーメンなどが挙げられますが、2週間程度、塩分の多そうな食品を極力減らすという生活を送ってみます。そして、その後に、外食に出掛け、好きな食べ物を注文したときには、塩味の強いものが選ばれるはずです。

つまり、手順としては

  1. 塩分の多い食べ物を極力避ける期間を設ける
  2. 期間を経て、外食に出掛け、直感的に何が食べたくなるかを観察する

そして、仮説としては、塩分を控えた生活が続いたため、外食時には塩分を取ろうとする欲求が強まり、その結果、ラーメン、かつ丼、すき焼きなどの塩味の強い食べ物を注文するだろう。

というようなものになります。

外食の際に、もしさっぱりしたお粥やそうめんが食べたいとか、このような結果が出ると仮説は支持されないことになります。日本人はもともと塩分が過多であるため、2週間控えめにしたとこで、塩分が欠乏している状態にまでなるとは言えないでしょう。

塩分に注目するという事自体が計画的にあまり上手なことではないかもしれませんが、ビタミンやたんぱく質、無機質は分かりにくいようにも思います。

この実験は、そもそもホメオスタシス(均衡、バランスを保とうとする機構)を支持するような背景を持つのだと思いますが、しかし、現代社会では甘い物やしょっぱい物の食べ過ぎが多々起きています。

生理的にはバランスを取ろうとするはずですが、我々がしょっぱい物を食べ過ぎてしまうのは、生理的なもの以外が関与しているということなのでしょうか。または、生理的なものの判断がわからなくなってしまうようなものを食べてしまっているとも考えられ、食について考えさせられる実験でもあります。