試行錯誤と洞察

何か新しいことをはじめようとするとき、どのような所から取り掛かるでしょう。

何も予備知識はないけれど、とりあえずやりながら試してみるという人もいれば、はじめに全体像をしっかり理解してから取り掛かるという人もいることでしょう。

どちらが優れているというものではなく、その方法や発想に注目して、記事を書いてみたいと思います。

多くは心理学の分野でのことになりますが、こうしたことを日々実験により比較や考察が行われて来ました。

特にソーンダイクという人やケーラーという人の実験が有名です。

ごく簡単に述べると、ソーンダイクが研究したことは、学習に関して試行錯誤ということに注目し、ケーラーは、ひらめきや思い付きに注目した研究を行ったわけです。

さて、ケーラーやソーンダイクらの研究からは少し離れた話になりますが、実際的な場面で我々がどのように、問題を処理しているかを、試行錯誤と洞察の2面から考えてみたいと思います。

試行錯誤と洞察などの学習

トライアンドエラーまず、試行錯誤という方法ですが、例えば、何か大事な物を無くして探そうとするとき、片っ端からあちこちを探してみるというやり方が挙げられるでしょう。

無くした物が鍵や財布だったとして、座布団の下や、机の下などを次々に確認していくのです。

そうするうちに、偶然鍵や財布が発見されます。

アパートなどにお住まいであれば、探す範囲も限られますので、合理的な方法とも考えられます。

この方法ですと、あちこち探すうちに、関係のない色々な物が気になってついつい時間が過ぎてしまうということもあるでしょうか。

そのうちに、何を探していたのか、どこを探してどこがまだ探し終わっていないのかもわからなくなることもあるでしょう。

鍵を無くすことが度々あるとしたら、おそらく、回数を重ねるごとに、鍵を発見するスピードは上がっていくでしょう。

つまり、試行錯誤の積み重ねにより、1回目と5回目では、経験値に差が生じ、

発見までに要する時間が短くなっていくことが想像されます。

経験上、飛び跳ねてみたら、ジャランという音がして、ポケットに入っている鍵を見つけるなどということもあり得るでしょう。

洞察

同じ状況で鍵を探していたら、試行錯誤せずに、まずはいつもどの辺に置いているか、最後に鍵を使ったのはいつだったか、などを思い返すなどが、こちらのやり方にあたるでしょう。

この方法ですと、体力はあまり使わず、うまく行けば一気に鍵の場所が明らかになったりもします。

例えば、帰宅後通った場所がわかれば、普段は使っていないような場所まで小さな可能性のために探す必要はありません。うっかり普段は使わない場所においてしまう可能性はあるかもしれませんが、確認する順番としては後ということになるでしょう。

帰宅後に、玄関で靴を脱ぐことに手こずったことを思い出したならば、鍵をひとまず、玄関の脇にある棚に置いた可能性などがクローズUPされたりするでしょう。

この場合、1回、あるところを探すだけで、鍵が見つかってしまうこともあり得ます。

今回、試行錯誤と洞察を分けて考えてみましたが、もう少し実際的には、この両方を使っているのでしょう。

これまでの探し物の経験を集約して、探し始めるという場合には、過去の試行錯誤が今回の洞察に貢献しているということになります。

また、洞察に失敗した場合に、試行錯誤をはじめ、試行錯誤の最中に急な

思い付きが起こり、見つかるということもあるでしょう。

きっと、それぞれにあったスタイルというものがあるのでしょう。

機嫌を損ねるとき

よくあることに、夢中で探している人に脇から「よく考えてごらんよ。絶対その方が早く見つかるよ」という声がかかることです。

声をかけたことも、かけられたこともどちらも経験しているという人が多いのではないかと思います。

この際、声をかけた方は親切心で言っているのだと思いますが、探している方としては、ショックを受けている可能性があります。またはイラッとしている可能性もあるでしょう。

自分のやり方が否定されているのではないかと感じたとき、どうにもあまりいい気分はしないもので、一緒に探してくれる人くらいの方が、受けがいいのではないかと感じます。

ましてや、鍵をなくしてしまったているときなどは、無くしてしまったというだけでかなりのショックを受けていることが想像されます。

これまで上述してきたことは、一人で探す状況を思い浮かべて書いてみましたが、そこに他者の存在や、コメントが入ってきたら試行錯誤や洞察はどのように影響されるか、こういった視点も必要になってくるかと思います。

ケーラーやソーンダイクももしかしたらそういうことを想像していたかもしれません。ですが、心理学の実験というものは、実験に関係のない要因を極力排除して実施するものなのです。この辺りのことが、実験結果と実際上の様子との誤差を生んでいるのかもしれません。

少し、本題と趣旨が違うかもしれませんが、どの方法が良いとか合っているということを越えて、当のご本人は夢中であるという点を軽んじてはいけないように思います。次に洞察という言葉を出しましたが、これは、試行錯誤に比較して、よりターゲトを絞った方法であるとお考えいただくと良いかと思います。